妻の戸惑い【04】
私は肩で息をする由香里を抱き寄せ、互いの手のひらを重ねるように握り締めました。
薄暗い寝室の中で寄り添いながら、静寂の空間に漂う時の経過を、虚ろな意識の奥で感じ合っていたのです。
「由香里 童貞とセックスした経験はある?」
妻は夫からの思いがけない問いかけに、少し驚いた表情を浮かべながら首を横に振りました。
「どうしてそんなこと聞くの?」
「由香里が誰かにとって、永遠に忘れられない女性かなと思って」
「男の人は初体験の相手をずっと大切な思い出に残すんでしょ それが永遠の人ってことなのかな?」
私は無言のまま頷きました。
「童貞の人との経験はないよ… 有った方が良かった?」
妻に対する秘めた願望を告白する緊張で、私は由香里の問いかけに答える余裕すら失っていました。
何かの支えを取り払うかのように、今まで押し隠していた言葉が妻に向けられます。
「この前、まだセックス経験の無い大学生の子と知り合いになったんだ…」
緊張で声を上ずらせる私に、妻は少し怪訝な表情を浮かべます。それに構わず、一気に願望を口にしました。
「彼の初体験の相手になって欲しいんだ… 童貞とセックスする由香里の姿が見たくて」
妻は私の言葉が意味することを、すぐには理解できなかったのかもしれません。何も言わずに私から目線を反らすと、仰向けのまま真上を見つめます。私の告白を自分の中で繰り返しているかのようです。
「あなたの見ている前で… 彼にとって初めてのセックスを?…」
私は返事の代わりに無言で頷きました。

「大学生の子は何才なの?」
「まだ18才なんだ…」
「え?… 未成年なの?」
「うん… この前、高校を卒業したばかりだって言ってた… もうすぐ19才になるって…」
「まだ子供みたいな年齢だよ… 私からすれば10才以上も年下…」
二人の会話はそこで途切れました。
暗がりの中でベットに並んで横になったまま、息苦しい無言の時が過ぎます。それから逃れる会話の言葉を必死で探しても、汗ばむような焦燥がそれらを掻き消します。
「あなたが見ている前でセックスすることを、彼は承知しているの?」
由香里の問いかけが私を呪縛から救います。
「うん… それが条件だって言ってある」
「条件?… 私は知らないうちに取引の道具にされていたのね」
「取引なんかじゃないよ… 由香里にとっても童貞は初めての相手だろうし…」
「私がいつ、そのことをあなたにお願いした?」
それはまるで子供を諭すような妻の言葉でした。彼女に内緒にしたまま計画を進めたことへの憤りよりも、自分自身の願望を妻のものにすり替えたことを問いただすかのようです。
「どうするかは由香里が決めていいから… もちろん彼にはそう言ってある」
「彼と会ってから決めたい… 今はそれしか言えない」
「もちろんだよ 無理強いはしないから」
妻は何も言わずに、小さく頷きました。
「彼の写真があるんだ。見て…」
私は枕元に置いた携帯を手に取ると、中に入れた少年の写真を開いて妻に渡しました。
「えっ?… 本当に大学生? 16才か17才にしか見えない」
「この前の3月まで高校生だったから…」
由香里は携帯にある何枚かの写真を一枚ずつ開きます。
「可愛い子だね… ジャニーズ系かも…」
「容姿はいいと思う… まだ彼女がいないのが不思議なくらい」
「こんな清純な感じのする子でも、セックスに対して強い願望をもっているのね」
「年上への憧れとセックスへの興味が一番激しい年頃なんだ」
妻は私の顔を覗き込むと、口元に微かな笑みを浮かべます。
「あなた自身もそうだったの?」
「うん… 毎日、オナニーしてた… それでしか満たす方法はなかったから…」
「相手は誰を思い浮かべて?」
「年上の人妻… 由香里のような人を想いながら…」

妻は、はにかむように小さく頷きながら携帯を閉じました。
「彼とはどこで知り合ったの?」
それは私が最も窮する問いかけでした。
予め言葉を用意していても、口にする瞬間に舌が強張ります。
「岩崎の紹介なんだ…」
由香里は驚きの顔で私を見つめます。
「紹介してとお願いしたのは自分なんだ… 何度も頼んで」
私は思わず妻に嘘をつきました。
彼女を何度か寝取った岩崎自身からの提案であることは、妻に言えなかったのです。私自身も岩崎の本心… 私に彼を紹介した真意を判りかねていました。少なくとも何らかの意図はある筈ですが、それを突き止めることは出来ずにいたのです。
今、そのことを由香里に話しても、彼女を混乱させるだけです。私からの頼みで岩崎が紹介したことにする他はありませんでした。
むしろ、妻と少年とのセックスは私自身の願望でもあるのです。岩崎が持ちかけなければ、きっと私から彼に頼んでいたでしょう。
決して嘘ではない… 私は自分自身に言い聞かせました。
「そうなんだ… あなたの方からお願いしたんだ… それで岩崎さんは断りきれなくて」
まるで妻自身も自分に言い聞かせるかのような言葉です。
内心、岩崎に裏切られたような想いが彼女の中に浮かんでいるのかもしれません。妻にとっては、私の言葉を素直に受け止めることが、その感情を押し殺すただ一つの方法なのでしょう。
「あの子と逢う日を決めていい? もちろん、最初は会うだけ。その上でどうするか決めよう…」
「うん… あなたにお任せする…」
妻はそう言うと、私に携帯を手渡し、目を閉じました。
彼女の想いの中には、どんな光景が浮かんでいるのでしょう。
自慰での快楽しか知らない膨れ上がった肉茎で体を貫き、ぎこちない動きで膣奥をなぞる少年の姿…
喘ぎの声を漏らしながら、女性を知らない純白の熱い精を放つ少年の姿…
きっと私も妻も、共に同じ光景を夢想の中に描きながら、胸を締めつけられる息苦しさに鼓動を高鳴らせていたのでしょう。妻の温かな体を傍らに感じながら、互いに息を潜めるように眠りの訪れを待ち続けたのです。
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薄暗い寝室の中で寄り添いながら、静寂の空間に漂う時の経過を、虚ろな意識の奥で感じ合っていたのです。
「由香里 童貞とセックスした経験はある?」
妻は夫からの思いがけない問いかけに、少し驚いた表情を浮かべながら首を横に振りました。
「どうしてそんなこと聞くの?」
「由香里が誰かにとって、永遠に忘れられない女性かなと思って」
「男の人は初体験の相手をずっと大切な思い出に残すんでしょ それが永遠の人ってことなのかな?」
私は無言のまま頷きました。
「童貞の人との経験はないよ… 有った方が良かった?」
妻に対する秘めた願望を告白する緊張で、私は由香里の問いかけに答える余裕すら失っていました。
何かの支えを取り払うかのように、今まで押し隠していた言葉が妻に向けられます。
「この前、まだセックス経験の無い大学生の子と知り合いになったんだ…」
緊張で声を上ずらせる私に、妻は少し怪訝な表情を浮かべます。それに構わず、一気に願望を口にしました。
「彼の初体験の相手になって欲しいんだ… 童貞とセックスする由香里の姿が見たくて」
妻は私の言葉が意味することを、すぐには理解できなかったのかもしれません。何も言わずに私から目線を反らすと、仰向けのまま真上を見つめます。私の告白を自分の中で繰り返しているかのようです。
「あなたの見ている前で… 彼にとって初めてのセックスを?…」
私は返事の代わりに無言で頷きました。

「大学生の子は何才なの?」
「まだ18才なんだ…」
「え?… 未成年なの?」
「うん… この前、高校を卒業したばかりだって言ってた… もうすぐ19才になるって…」
「まだ子供みたいな年齢だよ… 私からすれば10才以上も年下…」
二人の会話はそこで途切れました。
暗がりの中でベットに並んで横になったまま、息苦しい無言の時が過ぎます。それから逃れる会話の言葉を必死で探しても、汗ばむような焦燥がそれらを掻き消します。
「あなたが見ている前でセックスすることを、彼は承知しているの?」
由香里の問いかけが私を呪縛から救います。
「うん… それが条件だって言ってある」
「条件?… 私は知らないうちに取引の道具にされていたのね」
「取引なんかじゃないよ… 由香里にとっても童貞は初めての相手だろうし…」
「私がいつ、そのことをあなたにお願いした?」
それはまるで子供を諭すような妻の言葉でした。彼女に内緒にしたまま計画を進めたことへの憤りよりも、自分自身の願望を妻のものにすり替えたことを問いただすかのようです。
「どうするかは由香里が決めていいから… もちろん彼にはそう言ってある」
「彼と会ってから決めたい… 今はそれしか言えない」
「もちろんだよ 無理強いはしないから」
妻は何も言わずに、小さく頷きました。
「彼の写真があるんだ。見て…」
私は枕元に置いた携帯を手に取ると、中に入れた少年の写真を開いて妻に渡しました。
「えっ?… 本当に大学生? 16才か17才にしか見えない」
「この前の3月まで高校生だったから…」
由香里は携帯にある何枚かの写真を一枚ずつ開きます。
「可愛い子だね… ジャニーズ系かも…」
「容姿はいいと思う… まだ彼女がいないのが不思議なくらい」
「こんな清純な感じのする子でも、セックスに対して強い願望をもっているのね」
「年上への憧れとセックスへの興味が一番激しい年頃なんだ」
妻は私の顔を覗き込むと、口元に微かな笑みを浮かべます。
「あなた自身もそうだったの?」
「うん… 毎日、オナニーしてた… それでしか満たす方法はなかったから…」
「相手は誰を思い浮かべて?」
「年上の人妻… 由香里のような人を想いながら…」

妻は、はにかむように小さく頷きながら携帯を閉じました。
「彼とはどこで知り合ったの?」
それは私が最も窮する問いかけでした。
予め言葉を用意していても、口にする瞬間に舌が強張ります。
「岩崎の紹介なんだ…」
由香里は驚きの顔で私を見つめます。
「紹介してとお願いしたのは自分なんだ… 何度も頼んで」
私は思わず妻に嘘をつきました。
彼女を何度か寝取った岩崎自身からの提案であることは、妻に言えなかったのです。私自身も岩崎の本心… 私に彼を紹介した真意を判りかねていました。少なくとも何らかの意図はある筈ですが、それを突き止めることは出来ずにいたのです。
今、そのことを由香里に話しても、彼女を混乱させるだけです。私からの頼みで岩崎が紹介したことにする他はありませんでした。
むしろ、妻と少年とのセックスは私自身の願望でもあるのです。岩崎が持ちかけなければ、きっと私から彼に頼んでいたでしょう。
決して嘘ではない… 私は自分自身に言い聞かせました。
「そうなんだ… あなたの方からお願いしたんだ… それで岩崎さんは断りきれなくて」
まるで妻自身も自分に言い聞かせるかのような言葉です。
内心、岩崎に裏切られたような想いが彼女の中に浮かんでいるのかもしれません。妻にとっては、私の言葉を素直に受け止めることが、その感情を押し殺すただ一つの方法なのでしょう。
「あの子と逢う日を決めていい? もちろん、最初は会うだけ。その上でどうするか決めよう…」
「うん… あなたにお任せする…」
妻はそう言うと、私に携帯を手渡し、目を閉じました。
彼女の想いの中には、どんな光景が浮かんでいるのでしょう。
自慰での快楽しか知らない膨れ上がった肉茎で体を貫き、ぎこちない動きで膣奥をなぞる少年の姿…
喘ぎの声を漏らしながら、女性を知らない純白の熱い精を放つ少年の姿…
きっと私も妻も、共に同じ光景を夢想の中に描きながら、胸を締めつけられる息苦しさに鼓動を高鳴らせていたのでしょう。妻の温かな体を傍らに感じながら、互いに息を潜めるように眠りの訪れを待ち続けたのです。
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